【ボクシング】リング上での事故、相次ぐ訃報
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プロボクシングのOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級、日本同級5位の神足茂利さん(M.T)が8日午後10時59分に死去した。応援Xを立ち上げていた名古屋の松田ジムでトレーナーを務めている実兄がXで伝えたもの。28歳だった。神足さんは2日に後楽園ホールで行われたOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチで王者の波田大和(28、帝拳)に挑戦したが、試合後に意識を失い、都内の病院に救急搬送され「急性硬膜下血腫」で開頭手術を受けていた。神足さんは、名門日大出身でアマで50勝(5RSC)23敗の戦績を残し、M.Tジムから2019年10月に2回TKO勝ちでプロデビュー、プロ戦績は8勝(5KO)2敗2分けだった。
「2025年8/8午後22:59。神足茂利は天国に旅立ちました。生前沢山の愛をありがとうございました」 8日の深夜に病院に付き添っていた神足さんの兄がXで悲しい報告をした。 神足さんは2日に後楽園ホールで行われたOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチで王者の波田にキャリア12戦目でタイトル初挑戦。12ラウンドフルに戦い抜いたが、採点は、三者三様のドローで王座獲得はならなかった。判定を聞いた瞬間に神足さんは、その場で膝から崩れ落ちた。だが、すぐに立ち上がり波田と言葉を交わして健闘を称え合い、帝拳サイドのコーナーにも挨拶、そしてリングの四方に深々と頭を下げて、リングを降り、しっかりとした足取りで応援団の方々の激励に応えながら控室に戻った。異変が起きたのは、そこからで、頭痛などを訴えて医務室に運ばれた。 兄のXによると、神足さんは、医務室で、次第に目を閉じてきた。 怖くなった兄が、「シゲ。意識はハッキリ保つんだぞ。頑張れ」と声をかけると「よっしゃ!」と返事をしたが、そのままイビキをかいて眠りにつき、その後、意識を完全に失ったという。 神足さんは、救急車両で後楽園ホール近くの病院に搬送され、「急性硬膜下血腫」の診断を受け、ただちに開頭手術を受けた。翌日には2度目の手術を行い、兄は、Xにてこう経過を報告していた。 「昨日が一番危ない状態でした。今朝、腫れと出血が多い状況で手術をしてもらいました。できる限りの手術は成功したそうです。ただ、脳梗塞を引き起こしているとのことでした。一命は取り留めていますが、意識が戻るかどうかは5分みたいです。言語障害、認知障害のケースも極めて高いとのことです」 「病状的には搬送時に命が危なかった状態から命が助かったのが幸いだったそうです。 よくはなっているのか?という表現よりは 悪くはなっていないという状態みたいです。 引き続き医療従事者の方のお力を借りてシゲの命を繋いでもらいたいと思います」 ジムメイトであるWBC&IBF世界バンタム級王者の中谷潤人や、対戦相手の波田らが、お見舞いに駆けつけ、神足さんが大ファンだったEXILE ATSUSHIさん、清木場俊介さん(元EXILE SHUNさん)からも、お見舞いの動画とボイスメッセージが届き、必死にファイトしていた神足さんの耳元で聴かせたという。 兄は「シゲ、あのEXILEさんだよ!こんなキセキないよ。次はシゲがキセキ起こす番だよ」と投稿していた。 脳の腫れが、どの段階で引くかが回復のカギだったが、7日に脳室に水が溜まり、脳を圧迫する「正常圧水頭症」の症状が見られたため、同日深夜に「脳に1円玉くらいの穴を開ける」緊急の「脳室ドレナージ手術」を行った。 兄は手術後の様子を「変化はあまりなく厳しい容体は変わらないそうです。悪くはなっていない現状です」と伝えたが、42度の高熱が続き、氷で体を冷やしていたという。兄は「声かけをするといつものように目が動いたり、ビクっとする時もあります」とも伝え「シゲ、ここが踏ん張りどころだよ。あと一勝負頑張ろうね」と投稿したが、願いは通じず、帰らぬ人となった。
日本のプロボクシング界ではリング事故が相次いでおり、2023年12月26日に「バンタム級モンスタートーナメント」決勝で現在WBA世界バンタム級休養王者で、当時日本同級王者の堤聖也(角海老宝石)に挑んだ穴口一輝さんが、4度ダウンする激闘をフルラウンド戦い抜いたが、試合後に意識を失い、緊急開頭手術を行い、翌年2月2日に23歳で亡くなっている。 この事故を教訓に、日本のプロボクシングを統括、管理しているJBCは日本プロボクシング協会と共に専門家を招いての医事講習会を東西で開いた。水抜き減量との因果関係も考えられるため、協会は、日本タイトル戦と同挑戦者決定戦に限り、30日前(規定体重の12%増以内)、2週間前(7%増以内)の事前計量を取り入れるなど、再発防止策を練ってきた。だが、悲劇は繰り返された。 神足さんと同じ興行の第4試合、日本ライト級挑戦者決定戦で8回TKO負けした浦川大将(28、帝拳)も、リング上で意識を失い、担架が運ばれ、一度、医務室で意識を取り戻したが、病院に救急搬送中に意識がなくなり、同じく「急性硬膜下血腫」で緊急開頭手術を行った。現在も意識が戻らず経過観察中だ。 また5月にはIBF世界ミニマム級タイトルマッチで、重岡銀次朗(25、ワタナベ)が救急搬送され、開頭手術を受けた。ICUから一般病棟に移り、故郷、熊本のリハビリ病院への転院が検討されるまでに回復はしたが、未だ意識は戻らない状況。 神足さんの試合ではダウンシーンも明らかなダメージで動きが止まる場面も見られなかった。消耗はしていたが10回には「来い!」と意思表示をしていたし、11回にはコーナーに戻る際に応援団に向かって胸を叩くポーズも見せていた。 ただ兄は救急車両がホールに到着したのが、要請から約40分後で「JBCのドクターの対応は必死に救命しようとしている人の対応ではなかったように思えます。もう少し早く病院へいけたらもっと何かが変わったかもしれないと思うと、悔しさで怒りがこみあげます」と問題提起していた。 JBCによると救急車両の手配は規則でホールを通じて行わねばならないことになっていて、また後楽園での医務室での医療行為も禁じられているという。 また10回に神足さんはバッティングによる負傷を眉間に負い、2度のドクターチェックが入ったが、兄は「あそこで負傷ストップしなかった理由が僕には理解できません。勝敗なんてどうでもいいんです。安全面をもっと重点化して欲しいからです」と不満を漏らしていた。 ドクターがチェックした際の傷の深さや、11回以降、出血が止まっていたことを考えると10回でのストップは難しかったのかもしれないが、これも改めて検証すべき点だろう。 JBCは、これらの事態を重く見て、原因究明、再発防止に向けての緊急対策プロジェクトを立ち上げることを決めた。上部団体の了承を得て、地域タイトルを12回戦から10回戦に短縮することを決定。さっそく12日に後楽園で行われるWBOアジアパシフィックスーパーフライ級タイトルマッチと、19日の同場所でのOPBF東洋太平洋同級タイトルマッチを予定されていた12回戦から10回戦へ変更した。安河内剛本部事務局長は「原因を究明し、打てる手はすべて打ちたい」と明言している。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
【Yahoo Newsより】
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